ワインを開封したら、何かいつもとは違う香りや味わいを感じ、「ワインが腐っているのでは?」「賞味期限が過ぎてしまったのでは?」と不安になったことはありませんか?
ワインはデリケートなお酒なので、さまざまな原因で劣化して、味や香りが大きく変わってしまうことがあります。
今回は、ワインの劣化と、劣化を防ぐための対策について見ていきたいと思います。
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ワインは、腐ることはありませんが「劣化」します。
「腐る」と「劣化」ではほぼ同じ意味に聞こえますが、正確には以下のような違いがあります。
- 腐る:細菌などの作用でアミノ酸や糖が分解され、食べ物・飲み物の有機物が変質すること、私たちに有害な可能性もある。
- 劣化:食べ物・飲み物の有機物が物理的に変化して、品質が低下すること。
どちらも「品質が落ちる」ことには変わりありませんが、「劣化」は私たちの体に害はないことになります。
つまり、一般的にはワインには「腐る」という概念がなく、「品質は落ちるが飲んでも害はない」と言われています。
ワインには賞味期限がない
ワインには腐るという考え方がないため、ワインには賞味期限がないというのも特徴です。
つまり、ワインは10年、20年あるいは100年経っても飲むことができるものとされています。
記録上では、1500年頃造られたと思われるフランスのストラスブールで発見されたワインが、400年以上経った1944年でもまだ飲めたそうです。
これは極端な例でしたが、実際にワインボトルを確認すると分かりますが、どのワインにも賞味期限は記載されていません。
なので考え方としては、ワインは腐らないので長い年月が経ったものでも飲むことができる、とされています。
(※注:ワインは腐らないとはいえ、ワインとその保存状況によってはある種の菌が繁殖している可能性があるので、
実際の所は長い年月が経った全てのワインが飲めるわけではない、という見解もあります。)
ワインが劣化するさまざまな原因
ワインが劣化する主な原因としては、以下の5つがよく知られています。
- ブショネ
- 温度
- 振動
- 光
- 酸素
それぞれ、詳しく見ていきたいと思います。
ブショネ
ブショネとはコルク臭、汚染された天然コルク栓によって劣化したワインのことです。
天然のコルク栓に、まれに潜む「TCA(トリクロロアニソール)」という物質が原因で、ブショネのワインやコルク栓からは、カビのような臭いを発します。
天然コルク栓を使用したワインで、2〜5%程度の確率で発生し、実際に開封してみないとそのワインがブショネかどうかを判断することはできません。
ちなみに、ブショネを飲んでしまったとしても、人体に害はないと言われており、
また、買ったワインがブショネだった場合は、早めにお店に相談すれば対応してくれることが多いです(レシートも忘れずに)。
それでも、どうしてもブショネを避けたい場合は、スクリューキャップなど、天然コルク以外の栓を使ったワインを選ぶといいと思います。
ブショネについては、以下の記事で詳しく説明しているので、こちらが参考になると思います。
「このワイン劣化してる」とは限らないワインの香り、ブショネ・劣化臭・還元香を解説
温度による劣化
ワインは、瓶の中でゆっくり化学変化を起こしているので、適切な温度で保管しないと劣化することがあります。
特に多いのは、継続的な高温もしくは頻繁な温度変化による「熱劣化」によって、ワインがダメージを受けることです。
熱劣化
ワインの熱劣化は、高温によってワインの状態が落ちることですが、急激な温度変化による劣化も含まれます。
30℃以上の高温にさらされる、または温度変化がある場所で長期間保管されると、ワイン中の成分が化学変化を起こし、急速な酸化が進んだりします。
熱劣化は、造って出荷されたワインが輸送中または保存中に、高温や急激な温度変化を受けた場合に起こります。
熱劣化したワインに現れる、味や香りの変化はさまざまですが、
軽い劣化では、全体の味のまとまりが崩れ始めて、
劣化が進むと、酸味がビネガーのような鋭い酸味に変化する、ワインの風味が枯れたような、急に歳をとったような印象を受けることが多いです。
未開封のワインで、コルク栓が盛り上がっている、またはワインが液漏れしているものは、熱劣化を疑った方がいいでしょう。
長期間高温にさらされると、瓶中のワインが膨張するので、未開封のワインで栓が押し上げられたり、ワインが漏れることがあるからです。
熱劣化を起こしたワインは、適切な環境で数ヶ月保存することで、ある程度は状態が戻ることがありますが、
それでも全体的に薄っぺらい印象に感じるなど、完全に元の状態には戻りません。
低温劣化
ワインの低温劣化は、0℃を下回る環境で長期間保存されたワインが、化学変化を起こすことで起きる劣化です。
低温劣化は、コンテナ船で輸送中のワインが不具合で凍ってしまう、保存中に氷点下で保管されるなどで起こります。
一度凍ってしまったワインは、解凍しても完全には元の状態には戻らず、風味が落ちたように感じられます。
冷凍庫や氷点下の場所で長期間保存されたワインは、低温劣化している可能性が高いです。
振動による劣化
ワインは、振動によっても劣化が進みます。
微弱でもワインに長期間振動を与え続けると、ワインの粒子が不安定になり健全な熟成が妨げられるとともに、好ましくない化学変化が起きるからです。
ワインの甘味や舌触りの滑らかさがなくなる、タンニンや渋味に粗さが出る、味わいのバランスが崩れたように感じることがあります。
光による劣化
ワインは光の影響を受けやすいお酒で、日光だけでなく蛍光灯が当たり続けることでも劣化します。
日光に含まれる紫外線にワインがさらされると、色や味わいが変化して、硫黄のような異臭やブドウが焼けたような臭いが生じたりすることがあります。
蛍光灯の光も、ワインの褪色や劣化の原因となります。
酸素による劣化
ワインは酸素に触れることで化学変化を起こしますが、酸化が進みすぎることで色が褪せる・香りが落ちる・フルーツの風味が弱くなるといった劣化を引き起こします。
ワインの劣化の中でも、酸化によるものが一番身近だと思います。
なぜなら、酸化による劣化が一番起こりやすいのはワインを開封した後なので、ワインをボトルで買って家で飲むなら誰もが経験する劣化だからです。
開封後にワインに起きる変化と、ワインの酸化を防ぐ保存方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
開封後のワインに賞味期限はある?抜栓した後も美味しく飲める保管方法と飲み方を紹介
ワインの劣化を防ぐ方法は?
ワインの劣化を防ぐには、なるべく早めに理想的な環境で保管するのが最も効果的です。
具体的には、高級ワインはなるべく若いヴィンテージを購入して、以下の環境下で保存するのが最もオススメです。
- 温度:13~15℃、温度変化がない
- 湿度:75%前後
- 光:直射日光、蛍光灯が当たらない
- 振動:振動がない
- 匂い:強い匂いがない
ブショネだけは避けようがないですが、上記の場所を選んでワインを保管すれば、温度・光・振動による劣化は避けることができます。
ただ日本の住環境を考えると、この条件を満たすワインの保管場所としてはワインセラーを用意するのが最も現実的だと思います。
ワインの保存方法については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
未開封のワイン、家でワインセラーなしで保存するオススメの方法は?
酸化を防いでワインが飲めるアイテム「コラヴァン」
酸素による劣化に関連して、ワインは一度開封してしまうと酸素とワインの接触を防ぐことができないので、どうしてもワインの酸化が急激に進んでしまいます。
しかしワインシステム「コラヴァン」を使うことで、栓を開封しなくてもワインを飲むことができるようになるので、ワインの急激な酸化を心配する必要がなくなります。
「コラヴァン」とは、ボトルに取り付けて使うことで、コルク栓を抜かずにボトルの中のワインを注いで飲むことができる、特許テクノロジーを使用したアイテムです。
コラヴァンを使えば開封せずにワインが飲めるので、ワインを酸化させることなく、数ヶ月または数年後でも開けたての状態でワインを飲むことができます。
コラヴァンは使い方が簡単ということもあり、飲みたいワインの酸化を気にせず楽しめるだけでなく、
熟成途中のワインの状態を飲んで確かめるといった、これまでできなかったワインの楽しみ方もできるので、世界のワイン愛好家からも注目されているアイテムです。
「コラヴァン」については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
ワインの飲み方が変わる?!コルクを抜かずにワインが飲める道具「コラヴァン」とは?
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