コルク栓を抜かずにワインが注げるアイテム「コラヴァン」ですが、ネットなどで調べてもメリットばかりが目について、デメリットがないか不安になりませんでしょうか?
そこで今回は、実際にコラヴァンを使っている私が感じたデメリットと、実際にどのような使い方をすればデメリットを最小限にして大きいメリットがあるのか、見ていきたいと思います。
コスト面が最大のデメリット
コラヴァンのデメリットとしては、恐らくほとんどの人がコストがかかる点を挙げると思います。
コラヴァンは、最初に買う時のコストだけでなく、使い続けるうちにランニングコストもかかるので、無理もない点です。
では、実際使っているとどの位のコストがかかるのか、少し見ていきます。
最初に買い揃える時のコストがかかる
当然ですが、コラヴァンを最初に買う時にコストがかかります。
コラヴァンには実はいくつかのシリーズやモデルがあり、メーカーサイトで確認すると、例えば定番のセットでは以下が販売されています(税込、2024年4月現在)。
- タイムレス3+:39,600円
- タイムレス6+:63,800円
- タイムレス11:99,000円
- ピボット:20,900円
- スパークリング:88,000円
シリーズやモデルの違いについては、記事の後半で詳しく確認します。
ランニングコストがかかる
コラヴァンにかかるコストとしては、使い続ける内にランニングコストもかかります。
主なランニングコストは、消耗品である「アルゴンガス」です。
コラヴァンは、ワインをグラスに注いだ時に、自動的にアルゴンガスをボトル内に注入することでワインの酸化を防ぐ仕組みですが、
コラヴァンのアルゴンガスは、専用の「コラヴァンピュアアルゴンカプセル」というもので、使い切ったら別途購入する必要があります(6本セット:9,720円税込)。
アルゴンガス1本で、だいたい15杯分のワインを注ぐことができるので、
ここからワイン1杯分のアルゴンガスのコストを考えると、(税抜6本9,000円=1本1,500円なので)1,500円÷15杯分=100円/1杯分、とおおまかに計算できます。
1杯あたりに換算するとそれほど高くないように思われますが、コラヴァンをむやみやたらに使うと、ガスのコストはそこそこかかってきます。
私も例えば、2〜3日くらいで飲み切ってしまうデイリーワインには、コラヴァンは使用していません。
またコラヴァンを丁寧に使っていればほぼ問題ないですが、コルク栓に刺すニードルが曲がったり目詰まりしてしまった時も、替えのニードルを用意する必要があります。
使い続けるうちに不便と感じる点
またデメリットとまではいきませんが、コラヴァンも万能ではないので、使い続けている内に「ここが不便」と感じる点がどうしても出てきます。
他の方のレビューや私自身が使っていて思った点を、少しまとめたいと思います。
注ぎ方の見栄えがよくない
コラヴァンは両手でワインを注ぐ必要があるため、持ちにくいことと、お客様やゲストの前で注ぐ時の見栄えがよくない、という声があります。
コラヴァンを使ってワインを注ぐ時は、片手でワインボトルを持ち、もう片方の手でトリガーを操作しながらハンドルを握る形になるためです。
この点で私個人の感想としては、両手持ちでコラヴァンでワインを注ぐのは、確かに片手持ちに比べるとやや所作の優雅さには欠けますが、
注ぎ方の見栄え=お客様を満足させるための演出と捉えるなら、会話やコラヴァンの紹介をしながらワインを注ぐなど、別の方法でお客様の満足度を高める方法はあると思います。
ワインを注ぐのに時間がかかる
コラヴァンでワインを注ぐと、細いニードルを通してワインを注ぐため、適量注ぐまでに少し時間がかかります。
1杯のグラスに注ぐ時間としては、ワインを120ml注ぎ切るまでに、だいたい30秒くらいかかります。
注ぐのに時間がかかる点は、個人的には使い続けるうちに気にはならなくなりますが、もしお客様などの前で注ぐときには間を持たせる工夫が必要になると思います。
使用するたびに毎回水洗いが必要
コラヴァンは、毎回使った後になるべく早く水洗いする必要があり、やや面倒と感じるかもしれません。
ワインが、コラヴァンの注ぎ口やニードルの中に残って時間が経つと、ワインが固まって目詰まりを起こしたり、雑菌が発生して不衛生になることがあるからです。
水洗いの作業そのものは簡単で、使った後にコラヴァンの注ぎ口やニードルを温水などで洗い流して、柔らかい布で水気を拭き取り、乾かすだけです。
ただワインの飲み比べをする時などは、その都度水洗いをして拭き取らないとグラスやボトルの中に違うワインが混じってしまうので、注意が必要です。
ワインの中にコルク片が落ちることがある
これは私自身はまだ経験しておらず、お店でコラヴァンを使っている方のレビューですが、
グラスワイン用で注ぐためにコルク栓に何回もニードルを通すと、コルクによっては脆くなって、小さなコルク片がワインボトルの中に落ちることがあるようです。
コルク片がワインの中に落ちてしまうと、時間と共にワインの香りや味わいが変化してしまうため、大きくワインの状態が変わった場合は、提供をあきらめることもあるようです。
お店でグラスワインを提供する場合は特に、何回もコルク栓にニードルを刺すことになるので、
このあたりはコラヴァンのシリーズと使い方を一度考える必要はあると思います。
コラヴァンはシリーズによって使い分けができる
ここまでで見てきたコラヴァンのデメリットや不便な点を、完全に解消することは不可能ですが、
コラヴァンの特性を理解した上で使い方を考えると、そのデメリット以上にあなたが満足できる使い方もあるのではと思います。
幸いコラヴァンにはいくつかのシリーズがあるので、ワインをどう楽しむかを考えた上でコラヴァンを使うと、
デメリットを極力抑えて、コラヴァンのメリットである「ワインの酸化を抑えて、より長期間開けたてに近い状態でワインを楽しむことができる」点をより生かせると思います。
コラヴァンには、以下の3つのシリーズがあります。
- タイムレス:コラヴァンの一般的なシリーズ
- ピボット:スティルワインの全ての栓に使用可能
- スパークリング:スパークリングワイン専用のコラヴァン
そこでここからは、各シリーズのオススメの使い方を紹介したいと思います。
家やお店で頻繁に使うなら「コラヴァン・ピボット」
家でワインを楽しみたい時、またはワインパーティーやお店でお客様に高級ワインを出したい時には、私は「コラヴァン・ピボット」をオススメします。
「コラヴァン・ピボット」の魅力は、コラヴァンのシリーズの中で最も手軽な価格であること、
また栓の種類に関係なく全てのスティルワインに使用できる点です。
また、一度ピボット専用の栓に付け替えたら、ワインを飲み切るまで栓を取り換える必要もないので、コルク片がワインに落ちることもありません。
「コラヴァン・ピボット」のデメリットとしては、一度栓を付け替えるため、やや酸化抑制期間が短いことですが、それでも4週間程度はいい状態のワインを楽しむことができます。
実際の所、4週間ワインの状態を保つことができれば、お店ばかりでなく家でも1本のワインを楽しんで飲み切るには十分な時間だと思います。
ワインを飲む機会が多い、それでもできるだけ長い期間楽しみたいという方には、「コラヴァン・ピボット」は特にオススメです。
ワインを長期間保存したいなら「コラヴァン・タイムレス」
ワインをより長い期間保存したい時は、コラヴァンのメインシリーズである「コラヴァン・タイムレス」を使う方が、結果的に満足感が高いと思います。
「コラヴァン・タイムレス」は、コルク栓を抜かずにワインを注ぐことができるので、ワインの酸化抑制期間が長いことが魅力です。
例えば、普段はワインを飲まないが週末だけ嗜む時、大事に熟成させているワインがあるが今の熟成状態を確認したい時などは、「コラヴァン・タイムレス」が活躍します。
「コラヴァン・タイムレス」シリーズの中にも、いくつかの種類(モデル)があり、
現在メーカーから発売されているのは、タイムレスの「3」「6」「11」で、数字が大きいほど新モデルです。
まずコラヴァンを買おうかどうしようか悩んでいる方へのオススメとしては、最もお手軽な価格の「タイムレス3+」です。
「3+」は、発売されているシリーズの中では最も古いモデルですが、「6」と比べて本体機能に大差はなく、他モデルに比べて価格が安いためです。
まずは、コルク栓を抜かずにワインを注ぐ、という不思議な体験を通して、気に入ったら新たな付属品を買い足す、または新モデルに買い換える方が、納得してコラヴァンを使えると思います。
コラヴァンを使ってワインを長期保存したい時の注意点
「コラヴァン・タイムレス」で注いだワインを、その後何ヶ月以上も酸化させずに保存したい時は、いくつか注意点があるので以下で補足します。
ワインを注ぎ出す量は30ml以内にする
「コラヴァン・タイムレス」を使った後でも、数ヶ月以上保存したい時は、注ぎ出す量は30ml以内にする方が、ワインの状態を保てるようです。
「コラヴァン・タイムレス」でワインを注ぐと同時に、ボトル内には酸化抑制効果の高いアルゴンガスが注入されるとはいえ、
ボトル内のワインが減る=空気の量が増えるほど、ワインの酸化がより進行していきます。
細かい部分は、今後別の記事で色々と検証していきたいと思いますが、他の方がお店で750mlボトルのワインでコラヴァンを使った印象では以下のようです。
- 20mlくらいの少量をコラヴァンで注いだ場合、2ヶ月経ってもほぼ変わらない。
- ボトル半分以下までコラヴァンを注いだ場合、1ヶ月程度は状態は変わらないが、その後は日を追うごとに酸化のニュアンスが出て、味わいが変化する。
- ボトルで200mlくらい残して、半年間ワインを保存した状態では、ワインは美味しくない。
- コラヴァンを使っても、ボトルで3分の1くらいまで量が減ると長期保存は難しい。
これらを踏まえると、長期保存させたいワインは、できるだけボトル内の空気の量を減らすに越したことはないと言えそうです。
フルボディの高級赤ワインを選ぶ
ワインのタイプによっては、コラヴァンを使っても劣化が早い可能性があります。
特に気をつけたいのが、ヴィンテージの古いワイン(いわゆる古酒)で、既に熟成して酒質がデリケートなワインの場合、
たとえ「コラヴァン・タイムレス」を使っても、酸化による劣化を抑えるのは難しいと思われます。
ワインを長期保存したいのであれば、コラヴァンを使う使わないに関わらず、最初からフルボディでヴィンテージの若い赤ワインを選ぶことをオススメします。
ちなみに、フルボディの赤ワインを見分ける方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
フルボディの赤ワインとは?飲む前の見分け方やより味わいを堪能する方法を詳しく紹介
ワインは理想に近い環境で保存する
コラヴァンを使用した後でも、ワインを長期保存したいのであれば、劣化を避けるために保存環境はとても大切になってきます。
以下の条件が、ワインの保存にとっては理想の環境です。
- 温度:高すぎず低すぎない、なるべく温度は一定
- 光:直射日光、蛍光灯が当たらない
- 振動:振動がない
- 匂い:強い匂いがない
そういった意味でも、ワインの長期保存にはワインセラーがもっともオススメですが、金額やスペースの問題で現実的にはワインセラーが置けないパターンもあると思います。
ワインセラーなしでワインを保存したい場合、以下の記事が参考になると思います。
未開封のワイン、家でワインセラーなしで保存するオススメの方法は?
コラヴァンはきちんと洗い流して水気も拭き取って使う
ワインを長期保存させたい時は、特にコラヴァンも清潔で水気もない状態で使う必要があります。
コラヴァンが汚れた状態だと、ボトル内のワインが劣化してしまう可能性が高いからです。
特にニードルは、コルク栓に差し込んでボトル内のワインが直接触れる部分なので、もしワインを長い期間保存したい場合は、念入りにクリーニングや消毒を行った方がいいです。
ちなみにワインの劣化については、以下の記事でも説明していますので参考にしてみて下さい。
ワインが劣化する原因とその対策について解説
お店やスパークリングワイン好きなら「コラヴァン・スパークリング」
話を、コラヴァン各シリーズのオススメの使い方に戻しまして、
お店(レストランやバー、ワインバー)で、高級ワインをグラスで楽しんでもらうために使いたい方、
または家でスパークリングワインを頻繁に開ける機会のある方へのオススメになりますが、
そういう方は「コラヴァン・スパークリング」も用意した方がいいと思います。
「コラヴァン・スパークリング」を使えば、最大で4週間程度スパークリングワインを楽しむことができます。
また、「高級なグラスワインが飲める」ことをセールスポイントにしたいのであれば、ぜひ高級シャンパーニュやスパークリングワインも揃えて、コラヴァンを使うといいと思います。
スパークリングワインは、お客様にとってはいわゆるアペリティフやスターター、つまりこの1杯がこれからのお酒や食事に集中するためのスイッチになるので、
最初に普段あまり飲むことのない美味しいワインで気分を上げることは、これからお客様に楽しい時間を過ごして頂くためにも、とても大切なことだと思います。
お店の場合、通常スパークリングワインは、グラスで提供するとその性質上どうしてもロスが多いため使いづらいワインの代表格ですが、
その悩みは「コラヴァン・スパークリング」を使うことで、かなり解消することができるのではと思います。
もちろん、「コラヴァン・スパークリング」は付属品も含めるとメーカーサイトにて88,000円(税込み)とコストがかかるというデメリットがありますが、
高級シャンパーニュやスパークリングワインをグラスで飲めるお店はそれほど多くなく、大きなセールスポイントにできるので、
そのコストを使ってでもお客様に満足して頂くかどうか、
それを決めるのは、お店のコンセプトと、あなたがお客様にお店でどう満足して頂きたいかの考え方次第だと思います。
「コラヴァン」であなたにしかできないワイン体験を生み出す
「コラヴァン」は、ボトルに取り付けて使うことで、コルク栓を抜かずにボトルの中のワインを注いで飲むことができる、特許テクノロジーを使用したアイテムです。
コラヴァンを使えば開封せずにワインが飲めるので、ワインを酸化させることなく、数ヶ月または数年後でも開けたての状態でワインを飲むことができます。
コラヴァンは使い方が簡単ということもあり、飲みたいワインの酸化を気にせず楽しめるだけでなく、
熟成途中のワインの状態を飲んで確かめるといった、これまでできなかったワインの楽しみ方もできるので、世界のワイン愛好家からも注目されているアイテムです。
「コラヴァン」については以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしながらぜひともあなたにしかできないワインの体験を編み出して頂ければと思います。
ワインの飲み方が変わる?!コルクを抜かずにワインが飲める道具「コラヴァン」とは?
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