ワイングラスは、いくつかの部位が組み合わさってできていて、それぞれに名称と役割があります。
今回は、ワイングラス各部位の名称と役割について見ていきたいと思います。
また様々なワインを楽しめるようワイングラスは各部位に工夫が施されていますが、ワイングラスには代表的な型が5つあり、
その5つの型のワイングラスがあれば、ほとんどの世界中のワインを美味しく飲むことができます。
そこで、ワイングラスの代表的な5つの型についても紹介したいと思います。
ワイングラスの各部位の名称と役割とは?
私たちが知る一般的なワイングラスは、「リム」「ボウル」「ステム」「プレート(またはフット)」の4つの部位から成り立っています。
図で見ると、それぞれ以下の部分です。
これらの部位には、あなたがワインを美味しく飲めるよう、それぞれに役割があります。
以下で、部位ごとにその役割を見ていきます。
リム
ワイングラスの縁の部分を「リム」と呼びます。
リムには、以下の2つの役割があります。
- リムの厚さで味わいの感じ方が変わる
- リムを狭まることで香りと味わいの印象がよくなる
どういうことか、以下で詳しく見ていきます。
リムの厚さで味わいの感じ方が変わる
リムは、ワインを飲む時に直接唇に触れる部分なので、ワインの味わいの感じ方に大きな役割を果たします。
特に重要なのはリムの厚さで、リムが薄いほど唇に触れる感覚が少なくなるため、自然とワインが口の中に流れこむ感覚をしっかり感じ取ることができます。
それによって口当たりが滑らかに感じて、ワインの味わいを一段と美味しく感じることができます。
高級なワイングラスであるほど、リムは薄く作られています。
リムを狭まることで香りと味わいの印象がよくなる
ほとんどのワイングラスは、ボウルの部分と比べて、リムが多少なりとも狭まっています。
これには2つの理由があり、まず1つは
ワインの香りを、よりはっきりと感じ取れるようにするためです。
リムを狭めることで、ワインの香りがボウルの中に溜まって集中するので、グラスに鼻を近づけた時に香りをしっかり感じ取れるようになります。
リムを狭めるもう1つの理由は、
ワインが口の中で舌を流れる時に、味わいをバランスよく感じられるようにするためです。
リムが狭まったグラスでワインを飲む時、グラスを高く持ち上げて傾ける必要があります。
するとワインは、舌の先端から喉の奥に向かって直線的に少しずつ流れて、飲むことになります。
つまり、舌の両脇にはワインが流れにくくなるので、ワインの酸味と塩味を際立って強く感じなくなります。
私たちの舌には「味蕾」という、味覚を感じるセンサーのようなものがあり、舌の場所によって感じる味覚が違います。
ワインが、舌の上を直線的に少しずつ流れることで、甘みと苦味は感じられる一方で、
舌の両端にはワインが流れこみにくいので、酸味と塩味はあまり強く感じないということになります。
以下の図が、舌の各部分で感じる味覚と言われています。
実はワインの酸味は強いので、その酸味を最初に感じてしまうとワインが酸っぱいという印象を受けて、
甘味や塩味、旨み、苦味といった、他の味わいの要素が感じ取りにくくなってしまいます。
ワインの印象をよくするために、全体の味わいをバランスよく感じること、そのためにグラスのリムが狭いことは実はかなり重要なことになります。
以上が、リムの役割の説明となります。
ボウル
グラスでワインが注がれる部分を「ボウル」と呼びます。
ボウルの役割は、ワインの液体とともにその香りも溜めることです。
ワイングラスは、ボウルの中に香りを溜めた上で、狭まったリムでその香りが発散しないよう留めることで、鼻を近づけた時により香りをはっきりと感じ取れるようになります。
またボウルが大きいワイングラスほど、グラスの中でワインが空気に触れる面積が大きくなり、ワインの香りが引き立つので、
香りと味わいが複雑な高級ワインであるほど、ボウルが大きいワイングラスを使うことが望ましいです。
ステム
ワインの脚の部分を「ステム」と呼びます。
ステムの主な役割は、体温でワインの温度を上げるのを防ぐことです。
ワインの味わいは温度による影響を受けやすいのですが、直接ボウルを掴んでワインを飲むと、手の温度でワインの温度が上がってしまいます。
そのためワインに体温が伝わらないよう、ワインを適した温度で飲めるようにするために、ステムの長いグラスが考案されたそうです。
ワインは種類によって美味しく飲める温度が違いますが、一番適温が高いフルボディの赤ワインでも16〜20℃くらいなので、
体温が伝わると、ワインの温度が上がり過ぎてしまうので、その美味しさが半減してしまいます。
基本的に、ワインの入ったグラスを持つときは、ステムを持つのがいいとされています。
もしワインの適温について詳しく知りたい時は、以下の記事が参考になると思います。
ワインを美味しく飲める温度は?種類別ワインの適温と適温にするテクニックを紹介
プレート/フット
ワイングラスの底の部分を「プレート」(または「フット」)と呼びます。
プレートの役割は、ステムがついて高さのあるワイングラスを安定して支えることです。
プレートの直径は、ワイングラスを安定して支えるために、ボウルの直径と同じであることが一般的です。
ドイツで145年以上続くクリスタルグラスブランド「ツヴィーゼル」ワイングラスの代表的な5つの型
ワイングラスは様々なワインを美味しく飲めるよう、各部位に工夫が施されていますが、
ワイングラスの代表的な型には、以下の5つがあります。
- ボルドー型
- ブルゴーニュ型
- 白ワイン型(キャンティ型)
- モンラッシェ型
- シャンパーニュ型
この5つの型のワイングラスがあれば、ほとんどの世界中のワインを美味しく飲むことができます。
以下で、その5つの型と特徴を順番に見ていきたいと思います。
ボルドー型
ボルドー型のワイングラスは、フランスのボルドー地方の赤ワインのような、渋味があるフルボディの赤ワインを飲む時に適したワイングラスです。
ボウルがチューリップの花のような形をしていることから、チューリップ型のワイングラスとも言われることもあります。
ボルドー型のワイングラスの特徴は、ボウルが大ぶりで形が縦長であることで、
これによってワインを空気に触れさせ、その濃密なワインの香りをしっかりと溜め込むことができるので、フルボディの赤ワインの魅力である力強い香りと、
舌の奥でワインの渋味もしっかりと感じ取ることができます。
ボルドーの赤ワイン以外では、イタリアのブルネッロや、トスカーナ地方のカベルネ・ソーヴィニヨンで造られた赤ワイン、
または、カリフォルニア州やチリのフルボディの赤ワインを飲む時に使っても、そのワインの魅力をよく引き出してくれます。
ちなみに、ボルドーワインについては、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
ボルドーのワインとは?産地とワインの特徴、楽しみ方やオススメを紹介
ブルゴーニュ型
ブルゴーニュ型のワイングラスは、フランスのブルゴーニュ地方の赤ワインのような、デリケートで華やかな香りや酸味を持つ赤ワインを飲む時に適したグラスです。
ブルゴーニュ型のワイングラスの特徴は、ボウルが風船のように大きく横に広がる一方で、リムが小さく狭まった形をしていることです。
グラスのボウルが横に広がることで、グラスに注ぐとワインが空気に触れる面積がより大きくなるので、華やかなワインの香りをしっかりと引き出すとともに、
狭まったリムが香りをしっかりボウル内に溜め込むので、グラスを鼻に近づけた時に、ワインが持つ華やかさだけではなく、土壌に由来するより深みのある香りまで感じ取ることができます。
ブルゴーニュ型のグラスを使うのに適したワインは、やはりピノ・ノワールを使った赤ワインで、その芳醇で複雑な香りや、ブドウが造られた環境の個性の違いも感じ取ることができます。
白ワイン型(キャンティ型)
白ワイン型のワイングラスは、キャンティ型と呼ばれることもあり、白ワインやライトボディ〜ミディアムボディの赤ワインを飲む時に適しています。
白ワイン型のワイングラスの特徴は、ボルドー型やブルゴーニュ型と比べて、ボウルがやや小ぶりであることです。
ボウルが小振りであることで、やや適温が低めの白ワインやミディアムボディの赤ワインなどの温度を保った状態で、ワインを飲むことができます。
この型のワイングラスは、白ワインから赤ワインまで幅広いタイプのワインを飲むのに適して、使いやすいことから「万能型」とも呼ばれ、
ワイングラスを初めて買うのであれば、まずはこの「万能型」を選ぶことをオススメします。
モンラッシェ型
モンラッシェ型のワイングラスは、フランス、ブルゴーニュ地方の「モンラッシェ」のように、豊かでリッチな味わいを持つ高級白ワインを飲む時に適しています。
モンラッシェ型のワイングラスの特徴としては、ボウルが大き目でやや丸い形状、反面リムはブルゴーニュ型ほど小さく狭まっていないことが特徴です。
モンラッシェ型のボウルが大ぶりである理由は、ワインを空気に触れさせるとともに、少しワインの温度を上げる効果もあり、やや温度を上げることで味わいがよりふくよかに感じられます。
またワインを口に含んだ時にワインが舌全体に流れ込むよう、ボウルのカーブが緩やかに形作られているので、白ワインのリッチな味わいを口の中の様々な部分で味わうことができます。
ブルゴーニュ産の白ワイン以外では、樽熟成されたシャルドネ種を使った高級白ワインなど、豊かな味わいを持つ白ワインに適しています。
シャンパーニュ型
シャンパーニュ型のワイングラスは、シャンパーニュやスパークリングワインのような泡立ちのあるワインを飲む時に適しています。
見た目がフルートに似た形なので、「フルート型」と呼ばれることもあります。
ボウルの形は縦長で横幅が狭い細長く、ステムもやや長めなのが特徴です。
ボウルの形状には、ワインが空気に触れる面を小さくすることで、グラスの中に注いだワインの炭酸を抜けにくくすると共に、
グラスの底から立ち上がる泡立ちを見て楽しむための役割があります。
スパークリングワインは6〜8℃と低めの温度で楽しむために、香りがあまり立たないので、リムはあまり狭めず、ボウルも小さめです。
スパークリングワインや微発泡タイプのワインを飲むために、作られたワイングラスです。
まとめ
今回はワイングラスの各部位の名称と役割、代表的なワイングラスの型について見てきました。
ワイングラスにはリム、ボウル、ステム、プレート(フット)と呼ばれる部位があり、それぞれに役割があります。
またこれらを組み合わせた、代表的なワイングラスの型があり、それがボルドー型、ブルゴーニュ型、白ワイン型、シャンパーニュ型、モンラッシェ型です。
ワイングラスはただのグラスというわけではなく、ワインがより美味しく飲めるよう、細かい部分に至るまで様々な工夫がなされています。
ワイングラスの部位の役割まで知った上で、ワイングラスを使いこなして、美味しいワインが飲めるといいですね。
コメント