スペインワインは美味しくて価格もお手頃、という話を聞いたことはありませんか?
実はその通りで、スペインには知名度の高いワインは多くないものの、どのワインを飲んでもハズレが少なく、コストパフォーマンスの高いワインが好きなら大変オススメです。
でも、スペインバルなどスペイン料理を食べられるお店が最近増えたとはいえ、スペインワインがどういうものなのか、いまいちピンとこないかもしれませんね。
そこで今回は、スペインワインの魅力と特徴、楽しみ方やバリエーション豊かなオススメワインについても、見ていきたいと思います。
スペインワインの魅力は?
まずはスペインワイン全体の魅力について、一言で言えば、
コストパフォーマンスが高い、つまり美味しいワインがお手頃な価格で楽しめることです。
意外に思うかもしれませんが、実はスペインはワインの生産量が世界でもトップクラスで、
スペインのワイン生産量はイタリア、フランスに次いで、世界第3位を誇っています。
スペインはブドウが栽培される産地の中では平均気温が高い、ブドウ畑がある場所の標高が高い、日照量が多い、年間降水量が少ないため、ブドウ栽培に最適な環境です。
そのため、スペインではワインのベースとなるブドウが、完熟した質の高いものがたくさん収穫できるので、造られるワインの品質も全体的に高くなります。
スペインワインの特徴は?
完熟したブドウから造られるスペインワインは、太陽の恵みをたっぷりと受けて、ブドウの凝縮した風味がしっかり感じられるのが特徴です。
さらに、スペインワインは個性がはっきりとして、そのバリエーションも豊かといった特徴もあります。
スペインは50万平方km強と広い国土(実に日本の1.3倍の広さ!)のほぼ全域で、それぞれの特色を生かしたワイン造りを行っていて、
スペインの中でも、実に様々な気候条件やブドウ畑があります。
スペイン全体からワイン産地を厳選したとしても、以下の図のように広がっているのが分かると思います。
スペインにはどういうワインがある?
スペインで造られるワインは、赤、白、スパークリング、甘口と実に多種多様で、スペインだけで様々なタイプと味わいのワインを楽しむことができます。
ここからは種類別に、スペインにはどういうワインがあって、それぞれどのような特徴があるかを見ていきたいと思います。
スペインの赤ワイン
スペインワインの特徴であるブドウの凝縮した風味を感じるには、まずは赤ワインです。
スペイン赤ワインで、まずは覚えたいブドウ品種を2つ紹介したいと思います。
テンプラニーリョ種
スペインの赤ワインを知る上で、スペイン固有のブドウ品種、テンプラニーリョから造られる赤ワインは避けては通れないと思います。
テンプラニーリョは、スペイン原産の赤ワイン用ブドウ品種で、特に北部や内陸部を中心にスペインの幅広い地域で栽培されています。
テンプラニーリョからできる赤ワインの特徴として、繊細で香りがよく、タンニンや酸味も豊かに仕上がりますが、
樽熟成させた高級ワインからフレッシュな風味を味わうデイリーワインまで、また産地や造り手によっても様々なスタイルが造られるので、
まずはテンプラニーリョの赤ワインを試して、その豊かなバリエーションを感じていただくことをオススメします。
モナストレル種
コストパフォーマンスの高い赤ワインとして、モナストレルというブドウ品種から造られるものも、とてもオススメです。
モナストレルは、フランスで「ムールヴェードル」と呼ばれるブドウ品種で、スペインでは主に南東部で栽培されています。
ワインの特徴として、アルコール度数が高い、ブラックベリーやカシスリキュールを想わせる濃厚で凝縮した味わいに仕上がりますので、
飲みごたえのある赤ワインが好きな方には、うってつけの赤ワインだと思います。
スペインの白ワイン
濃厚で凝縮感のある味わいが多いスペインの赤ワインに対し、スペインの白ワインはブドウの風味を生かしたフルーティーな味わいが特徴です。
白ワインについても、私はスペイン固有のブドウ品種を使ったフレッシュな味わいを生かしたものが、よりオススメです。
スペイン白ワインで、まずは知ってほしいブドウ品種を2つ紹介したいと思います。
アルバリーニョ種
スペイン白ワインでは、まずはアルバリーニョから造られる辛口白ワインがオススメです。
アルバリーニョは、スペイン北西部、大西洋に接するガリシア州原産のスペインを代表する高級白ワイン用ブドウ品種です。
香りがよく、酸味とミネラル感が豊かなスッキリとした辛口の白ワインに仕上がります。
この地方の特産品である、新鮮な魚介料理を使ったタパスととても相性がよく、ぜひ魚介を使った料理と合わせてほしい白ワインです。
ヴェルデホ種
ヴェルデホというブドウ品種からも、スペインワインらしいフレッシュで豊かなアロマを持つ白ワインが造られています。
ヴェルデホは、内陸北部にあるカスティーリャ・イ・レオン州のルエダという地域で主に栽培されている品種です。
特徴として、ハーブや柑橘類を想わせるアロマと爽やかな清涼感があり、野菜や魚介を使った料理ともよくマッチします。
スペインのスパークリングワイン
スペインには、スパークリングワインにも高品質で有名な「カヴァ」があります。
カヴァ
カヴァはスペイン産スパークリングワインのことで、フランス産のシャンパーニュ、イタリア産のプロセッコと合わせて、世界三大スパークリングワインとも呼ばれる人気が高いワインです。
カヴァ(Cava)という印象的な名前は、カタルーニャ語で「セラー」を意味し、ワインを熟成させる洞窟(Cave)に由来しています。
カヴァはスペインの様々な地域で造られていますが、最も主要な産地は、有名な都市バルセロナがあるカタルーニャ州です。
カヴァが人気の理由は、シャンパーニュと同様の手間がかかる製法で造られることで豊かな泡立ちと高い品質を持つこと、
その一方で価格がお手頃なので、高価なシャンパーニュの代わりとして世界中で使われています。
スペインにはこんなユニークなワインもある
スペインには、これまで紹介したワイン以外にも、その伝統や文化に基づいたユニークなワインがあります。
その中でも有名なワインを、いくつか紹介したいと思います。
チャコリ(微発泡白ワイン)
スペインのユニークなワインの一つに「チャコリ」があります。
チャコリは、バスク州というスペイン北部のピレネー山脈の西にある州で造られる、微発泡タイプの辛口ワインです。
チャコリはフレッシュなうちに飲むもので、特徴はアルコール度数が低く、微発泡性でとてもフレッシュ、強い酸味とミネラル感のある味わいです。
チャコリはその注ぎ方も独特で、普通に注ぐのではなく「エスカンシア」と呼ばれる方法で注がれることもあります。
これは、チャコリを注ぎながらボトルをグラスからどんどん離していき、数十センチの高さから注ぐ方法です。
元々は現地のバルでパフォーマンスとして始めたようですが、チャコリは酸味が強いために、空気を含ませることでまろやかな口当たりにするという目的もあります。
ちなみに、チャコリを注ぐグラスにはワイングラスではなく、口の大きい専用のグラスが使われます。
(ただエスカンシアは、注ぐ時に必ずこぼれて地面がビシャビシャになるので、やるならば足元が濡れてもいい場所で行ってください。)
チャコリのオススメの飲み方は、よく冷やして新鮮な魚介料理と合わせることです。
チャコリが生産される地域は海が近くにあり、現地でも白身の魚や牡蠣などの甲殻類とチャコリを合わせることが定番です。
またチャコリは和食ともとてもよく合い、刺身や唐揚げ、冷奴や枝豆、ポテトサラダなど、気軽な日本のおつまみと合わせるのもオススメです。
シェリー酒(酒精強化ワイン)
シェリー酒は、スペイン南部、アンダルシア州の南西の端にあるへレスという街を中心に造られる白ワインのことです。
シェリー(Sherry)というのは実は英語名で、スペインでは「ビノ・デ・へレス(Vino de Jerez)」つまりへレスのワインと呼ばれています。
シェリー酒は、普通のワインにブランデーなどのアルコールを加えて、酒精を強化されたもので、
ワインの中でも「フォーティファイドワイン(または酒精強化ワイン)」と呼ばれ、一般的な赤・白ワインの「スティルワイン」とは違うタイプのワインになります。
シェリー酒には様々な種類があり、辛口ワイン、極甘口ワイン、これらをブレンドした甘口ワインの3つのカテゴリーがあります。
今回は、その中から4種類のシェリー酒を紹介したいと思います。
フィノ
フィノは、シェリー酒の中では最もスッキリとした辛口のタイプで、アルコール度数は約15%、味わいは軽めで繊細です。
フィノは、樽熟成をした際に、樽の中で「フロール」という酵母の膜がワインを覆うことで、ワインに独特の風味が加えられます。
薄いレモン色で、リンゴやレモン、ハーブを想わせるに、焼きたてのパンのようなイーストのニュアンスも感じられる、ドライな味わいです。
フィノは、イカやイワシのフライ、ヒコイワシの酢漬けのような魚介料理、生ハムなどとと合わせるのが、スペイン現地での定番です。
マンサニーリャ
マンサニーリャは、先ほど紹介したフィノの一種なのですが、
その中でも、シェリー酒の産地の中にあるサンルカール・デ・バラメーダの街で造られたフィノは、マンサニーリャと別の名を名乗ることができます。
サンルカール・デ・バラメーダは海に近い産地で、この地で造られることでシェリー酒にもより塩気を感じるミネラルを感じるのが特徴で、
フィノよりもさらに繊細でフレッシュ、生ハムや新鮮なシーフードとの相性が非常にいいワインです。
オロロソ
オロロソは、樽熟成の時に産膜酵母を発生させずしっかりと酸化熟成させて造られるタイプで、フィノよりもボディのしっかりとした香り高いシェリー酒です。
アルコール度数も20%前後と、フィノよりも高くなっています。
オロロソは琥珀色で、クルミやヘーゼルナッツ、コーヒーやカラメルのような複雑さと力強さを兼ね備えた丸みのある香りで、豊かな味わいの辛口です。
合わせるのは、香りを合わせてアーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類でもよく合いますし、
ジビエや赤身肉、しっかり味付けされた煮込み料理、熟成タイプのチーズにもよく合う、味わいの強さを備えています。
アモンティリャード
アモンティリャードは、フィノとオロロソの中間的なタイプのシェリー酒です。
というのも、アモンティリャードは樽熟成中にフィノと同様、途中までフロールを発生させた状態で熟成させますが、
熟成中にフロールが消えてしまうので、途中からはオロロソと同じように酸化熟成されたシェリー酒です。
フィノとオロロソの中間的なイメージで、ヘーゼルナッツのような上品なアロマと、複雑さとスパイシーさが調和したバランスのとれた味わいが特徴です。
ナッツやチーズなどといったおつまみをはじめ、野菜や魚介類、鶏肉との相性も抜群にいいシェリー酒です。
オロロソやアモンティリャードなど酸化熟成で造られたシェリー酒は、抜栓後も1ヶ月以上長持ちするので、家でじっくりと楽しむにもオススメです。
料理に合わせやすいスペインワイン
スペインワインを楽しむオススメの方法は、「タパス」と合わせることです。
「タパス」とは、スペインの小皿料理のことで、いわゆるおつまみです。
タパスは、スペインで「バル」と呼ばれる立ち飲みのカウンターがある居酒屋兼カフェで、ワインなどと合わせて提供されます。
スペインには、地域やバルによって様々な名物のタパスがあり、それを目当てにバルをはしごするのが何よりも楽しいと思います。
その中でも各地のバルで見つけることができる、定番のタパスを見ていきたいと思います。
ハモン・セラーノ
「ハモン・セラーノ」とは、スペインで作られる生ハムのことです。
白豚の後ろ脚の皮の一部をはぎ取ってから塩漬けした後、乾燥して熟成させることで作られます。
骨付きの生ハムの固まりを「原木」と呼びますが、以下のような原木を日本のスペインバルでも見たことがある方もいるかもしれません。
原木から薄く切り落とされたものをそのまま食べるのが定番で、程よい塩気がワインにもシェリー酒にもよく合います。
ハモン・セラーノは、イタリアの「プロシュート・ディ・パルマ」、中国の「金華ハム」と並び、世界三大生ハムと呼ばれますが、
ハモン・セラーノの特徴はしっかりとした塩味、やや硬い食感で食べ応えがあります。
ちなみに、白豚ではなくイベリコ豚から作られた生ハムは「ハモン・イベリコ」(イベリコ豚の生ハム)と呼ばれ、口の中でとろけるような脂の旨みがあるのが特徴です。
トルティージャ
スペインのトルティージャとは、スペイン風オムレツのことで、
オリーブオイルでローストした玉ねぎとジャガイモに、卵を流し込んでフライパンで両面をよく焼いた料理です。
トルティージャは、スペインではいわゆる「おふくろの味」で、家庭によって中に入れる具材やそのカットの仕方など違うようですが、
定番は薄くスライスして揚げ焼きにしたジャガイモです。
トルティージャも、様々なワインやシェリー酒に合わせられます。
アヒージョ
アヒージョは、耐熱容器に熱したオリーブオイルと刻んだニンニク、エビやタコなどの具材を入れてグツグツに煮込んだ料理です。
ニンニクの香りがついたオリーブオイルに、バゲットをつけで食べるのも美味しいです。
スペインを代表するブドウ品種のアルバリーニョから造られる華やかな香りの白ワインや、樽熟成されたシャルドネとのマリアージュがおすすめです。
しっかりとした果実味のカヴァもよく合います。ガーリックのパンチのある味わいに負けないタイプを選びましょう。
パエリア
パエリアはタパスではないですが、スペインを代表する米料理ですので、簡単に紹介したいと思います。
バレンシア語でフライパンを意味する「パエリア」は、米の生産地であるバレンシアが本場で、
エビやイカ、アサリ、ムール貝などの魚介類や野菜を具材にして、炊き上げたものです。
カヴァやミネラル感のある白ワインと合わせると、相性が抜群にいいですね。
このように、スペインワインは料理との相性がいいので、様々なペアリングやマリアージュを考えやすいワインでもあります。
以下のマリアージュの基本を解説した記事を読んで、あなたなりのマリアージュを考えてみるのも楽しいと思いますよ。
ワインと料理をマリアージュさせる方法は?基本を実例と合わせて紹介
スペインワインを何ヶ月でも美味しく飲める「コラヴァン」の使用がオススメ
今回は、スペインワインの魅力と特徴、様々なスペインワインやその楽しみ方について見てきました。
今回紹介できたスペインワインはほんの一部で、コストパフォーマンスが高い掘り出し物のワインがスペインにはまだまだたくさんあります。
その中からお宝を探す感覚で、色々なスペインワインを試してみて、ぜひあなたのお気に入りを見つけてみてください。
ところで、スペインワインに限らずワインは、一度栓を開けてしまうとすぐに風味が飛んでしまうので、早めに飲み切るのが常識ですが、
ワインシステム「コラヴァン」を使えば、栓を開けることなくワインを楽しむことができます。
「コラヴァン」とは、ボトルに取り付けて使うことで、コルク栓を抜かずにボトルの中のワインを注いで飲むことができる、特許テクノロジーを使用したアイテムです。
コラヴァンを使えば、栓を抜かなくてもワインが飲めるので、
コルクを折る心配だけでなく、ワインを酸化させる心配もせずにワインを飲むことができるので、ボトルのワインを数ヶ月または数年後でも開けたての状態のワインを飲むことができます。
コラヴァンは使い方が簡単ということもあり、飲みたいワインの酸化を気にせず楽しめるだけでなく、
熟成途中のワインの状態を飲んで確かめるといった、これまでできなかったワインの楽しみ方もできるので、世界のワイン愛好家からも注目されているアイテムです。
「コラヴァン」については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
開けたてのワインの味を数ヶ月後でも楽しめる道具、コラヴァンとは?
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