ワインのマリアージュ、よく聞く言葉ですけど、いざやろうとすると難しいですね。
それもそのはずで、味わいの感じ方や好みは人によって違うので、マリアージュに絶対的な法則はないようです。
ただその中でも、こうすればマリアージュしやすくなるという基本はあります。
そこで今回は、ワインのマリアージュをどのように行えばいいか、実例を交えながら見ていきたいと思います。
マリアージュとは?
まずは、マリアージュとは何か分かりますでしょうか?
マリアージュ(mariage)には、フランス語で「結婚・婚姻」という意味がありますが、
ワイン用語では「料理とワインの組み合わせ」や「料理とワインがお互いを引き立てる」という意味で、マリアージュという言葉が使われています。
料理とワインが調和したとき、それぞれを別々に口に入れた時には感じない、新たな風味が口の中で生まれます。
この風味が生まれた時に「マリアージュ」、つまり料理とワインが結婚したようにお互いを引き立て合っている、と表現されます。
マリアージュとペアリングの違い
マリアージュと混同してしまう言葉に「ペアリング」があります。
基本的にはどちらも「料理とワインを合わせる」という意味合いですが、少しだけ言葉のニュアンスが異なります。
「ペアリング」とは料理とワインをいい相性に組み合わせるという意味で、一方「マリアージュ」は組み合わせによって新しい風味を生み出すという意味があります。
つまり、ペアリングで料理とワインをうまく組み合わせた時にマリアージュが生まれる、というイメージです。
なので、料理とワインのマリアージュには、ペアリングを知っておくと色々な応用ができますよ。
料理とワインを合わせるテクニックとは?
ここから料理とワインのマリアージュには、まずペアリングが大事とお伝えしましたが、
料理とワインを合わせるテクニックとしては、このペアリングの考え方が分かるといいと思います。
ただ冒頭でもお伝えした通り、味わいの感じ方や好みには個人差があり絶対的な法則はないので、
この考え方をもとに色々と試して、あなた自身の舌と感性で感じてみてくださいね。
料理とワインの色を合わせる
色の淡白な料理には白ワイン、色の濃いものには赤ワインを合わせるという考え方です。
料理とワインの合わせ方で「魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワイン」と言われますが、
ここにペアリングの考え方を組み合わせると、赤身の魚、例えばマグロやカツオには赤ワインが合います。
この場合、カルパッチョなら口当たりがよく渋みの少ない赤ワイン、ステーキにするならミディアムボディの赤ワインが合わせやすくなります。
また肉料理の場合でも、鶏むね肉を梅肉和えにしたらミディアムボディの白ワイン、豚しゃぶのように豚肉をシンプルに味わう料理ならロゼワインがよく合います。
なぜ料理とワインの色を近づけると相性がいいのかですが、
料理もワインも、色と味の濃淡は一致していることが多く、料理とワインの色を合わせることでそれぞれの味わいの強さも近いものになるからです。
ちなみに、ボディについてより理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
ワインのボディとは?それぞれの分類と特徴、ボディを決める要素を解説
料理とワインの産地を合わせる
料理とワインを、同じ地域、同じ産地のものから選ぶという考え方です。
例えば、ブイヤベースにはフランスのプロヴァンス地方ロゼワイン、ピッツァ・マルゲリータにはイタリアのカンパーニャ州白ワインを合わせてみる、ということです。
この考え方は、ヨーロッパの料理とワインで合わせてみると、特にうまくいくことが多いです。
なぜ同じ産地で合うかというと、ワインは原料であるブドウが育まれた環境を反映するお酒なので、
同じ環境・文化で生まれた食材や調味料を使う料理と、共通した方向性を持つから、と言われています。
この考え方は和食と日本ワインの関係にも当てはまるので、日本ワインはあなたの普段の料理ともよく合うと思います。
ワインの産地に合わせた郷土料理と合わせられると、尚いいですね。
料理の調味料やソースをワインの風味に合わせる
料理に使う調味料やソースを一工夫して、ワインの風味と合わせると、お互いの相性がグンとよくなります。
料理のソースや味付けをワインの風味と合わせるテクニックは、実際にプロの料理人やソムリエも使いますので、これをマネしない手はないですね。
ワインに合う万能調味料や風味付けとしてオススメしたいのが、ニンニク、アンチョビ、オリーブオイル、バルサミコ酢です。
これらは、イタリアなどヨーロッパの料理で使われることが多いですが、料理にはぜひ積極的に取り入れていきたいものです。
また、先ほど料理とワインの色を合わせるテクニックをお話しましたが、調味料やソースについてもワインの色と合わせるとうまくいくことが多いです。
例えば、料理に醤油、味噌、ウスターソースなどを使うと赤ワインとの相性がよくなり、マヨネーズ、クリームソースなどを使うと白ワインとの相性がよくなります。
以上が、料理とワインのペアリングを成功させるための基本的なテクニックとなります。
マリアージュを成功させるコツと例とは?
ここまでペアリングをおさえた上で、本題である料理とワインをマリアージュさせるためには、どうすればいいでしょうか?
以下で例を交えながら見ていきましょう。
料理とワインを同調させる
料理とワインで風味や香りが似ているものを合わせることで、お互いに一体感があるように感じる合わせ方です。
先ほどお話した、料理とワインの風味を合わせることで、同調が生まれます。
相性のいい組み合わせのほとんどは、料理とワインが同調しているからで、マリアージュを考える時はまずここを意識するといいと思います。
例えばですが、牛赤身肉のステーキはボルドーの赤ワインとペアリングしやすい組み合わせですが、
もし熟成したボルドー赤ワインを飲むのでしたら、ワインからキノコや土を想わせる香り(熟成香=「ブーケ」と言います)を感じられるので、
料理をキノコを使ったソースにしたり、付け合せにキノコのソテーを添えることで、より料理とワインの香りが同調してマリアージュが生まれやすくなります。
このように料理とワインを同調させる時の考え方は、まずはワインの風味を感じ取った上で、料理の方に付け加えたりちょい足しするイメージです。
料理をワインで引き立てる
ワインが料理を引き立てて、食事がよりいっそうおいしくなる合わせ方のことです。
どういうことかというと、料理だけでは足りない風味をワインで補うことで、口の中で全体の味わいを十分に満たすことです。
ここで言う全体の味わいとは、甘み・酸味・旨味の3つで、料理とワインを合わせることでこの3つの味わいを満たすことを考えるといいと思います。
例としては、イベリコ豚の生ハムとスペイン赤ワインの関係で(同じスペイン産ですね)、
融点が低いイベリコ豚の脂が口の中でとろけた時に旨味を感じられるので、それを赤ワインの果実味、酸味と合わせることで、
甘み・酸味・旨味の3つがうまく揃い、口の中が満足することでマリアージュを生み出します。
料理の風味をワインで洗い流す
料理を食べた後に、口の中に残る油脂や臭みなどをワインで洗い流して、口の中をさっぱりさせる効果のことです。
マリアージュの例でよく挙げられる、牡蠣とフランスのシャブリの関係が分かりやすいかもしれません。
牡蠣は、食べた後にどうしても口の中に香りが残るので、これをシャブリの酸味でさっぱりさせる意味合いがあります。
ちなみに、牡蠣は生でそのままワインに合わせると、どうしても磯臭さが残ってしまうので、
シャブリに生牡蠣を合わせたい時は、生牡蠣にシャブリに共通するレモンをかける、オリーブオイルを垂らすなど、牡蠣に一工夫加えたほうがシャブリと合わせやすいです。
このように、マリアージュは一つだけを考えるのではなく、いくつかの要素を組み合わせたほうがうまくいくことが多いようです。
また、マリアージュをより楽しむために、ワインの方でもしっかり準備しておくと、より料理を引き立たせることができますよ。
ワインをより美味しく飲む方法については、以下の記事を参考にしてみて下さい。
自宅で気軽に実践できる、ワインの味と香り引き立つ美味しい飲み方は?
フィラディスワインクラブ30まとめ
今回は、ワインのマリアージュについて、基本的な考え方について見てきました。
まずマリアージュとは、料理とワインがお互いを引き立て合う関係性のことです。
料理とワインを合わせるテクニックとしては、
料理とワインの色を合わせる、産地を合わせる、料理の調味料やソースをワインの風味に合わせるとうまくいくことが多いです。
また、ワインとマリアージュさせる方法については、
料理とワインを同調させる、料理をワインで引き立てる、料理の風味をワインで洗い流すなどを意識するといいと思います。
マリアージュは一つだけを考えるのではなく、いくつかの要素を組み合わせたほうがうまくいくことが多いようです。
今回見てきたことは、あくまでマリアージュの基本的な考え方で、
最初にお話しした通り、味わいの感じ方や好みは人によって違うので、マリアージュに絶対的な法則はないようです。
色々と試してみて、あなたの舌と感性で素敵なマリアージュを見つけてみてくださいね。
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