【検証レポート】コラヴァンは熟成した白ワインでも日持ちさせる?

ワインの酸化を防ぐ「コラヴァン」

コラヴァンは、その触れ込みとして「コルク栓を開けることなくワインを飲むことができるので、酸化を防いで何ヶ月でも何年でもワインを開けたての状態で楽しむことができる」

とありますが、果たして本当にその触れ込み通りなのでしょうか?

そこで今回は、コラヴァンを実際に使って、どのくらい酸化を抑えてワインを楽しむことができるか検証してみたいと思います。

検証に使った白ワイン

今回の検証は、近所の酒屋で買ったドイツの白ワイン「ブラウネベルガー・ユッファー2013年」にコラヴァンを使ってみました。

普通の熟成赤ワインでは、検証としてあまり面白くないだろうと思い、熟成した白ワインで探した所、近所におあつらえ向きのものがありました。

近所の酒屋と言っても、管理がきちんとしている所なので、保管コンディションの問題はないだろうと見て購入しました。

一応、ワインの情報を以下に記載します。

  • ワイン名:ブラウネベルガー・ユッファー
  • ヴィンテージ:2013年
  • 生産者:フリッツ・ハーグ
  • 種類、タイプ:白、甘口(シュペトレーゼ)
  • 生産国/地域:ドイツ/モーゼル
  • アルコール度数:7.5%
  • 買ったお店:酒屋
  • 購入価格(税込):¥3000くらい(※2023年5月時点)

フリッツ・ハーグということで元のワインの品質は高いでしょうが、白ワインの10年もので、甘口とはいえアルコール度数が7.5%しかありません。

普通に抜栓して日を跨いだら、すぐに酸化して全体の味わいのバランスが崩れてくるだろうと思います。

検証レポート

単純に、ドイツの白ワインが熟成するとどう変化しているかも楽しみですが、

かなりデリケートと思われるワインなので、コラヴァンを使うことでどのくらい風味の変化が抑えられるでしょうか。

今回は天然素材のコルク栓なので、コラヴァンがそのまま使えます。

ちなみに、私が使っているコラヴァンは「タイムレス3+」です。

created by Rinker
Coravin
¥35,640 (2024/07/01 21:50:44時点 Amazon調べ-詳細)

抜栓初日(5月26日)

色はやや薄めですが、輝く黄金色で、健全ではありますがやはり熟成のニュアンスが色から感じ取れます。

香りとしては、黄桃、蝋蜜のニュアンスに、リースリング種特有のオイリーな印象があります。

10年熟成ということで、菩提樹や白い花のような華やかさはなくなっておりますが、

口に含むと微発泡がまだ残るオフドライなワインで、酸味と甘味のバランスが取れた落ち着いた印象ではあるものの、筋が一本通った味わいで、まだ美味しく飲めるワインです。

普通に抜栓すると、酸化によって徐々に全体の味わいのバランスが崩れてしまうだろうと思われます。

とりあえず、この日はワインセラーで横置きで保管して、定期的に変化の様子を見ていこうと思いました。

抜栓3日目(5月28日)

状態を確認しようと、セラーから取り出した時に「なんかワインの匂いがするな」と思ったら、なんとセラーの中にワインが数滴垂れていました。

原因は、コラヴァンのニードルを通した跡のコルク栓の穴が完全に塞がってないことによる、液漏れです。

コルク栓の状態を確認するために、キャップシールを取って、ボトル上部からコルクを撮ってみました。

見る限り、コルク栓が乾燥しているわけではなくきちんと伸縮はしているようで、ニードル跡の穴はほぼ塞がってはいますが、完全には塞がっていないようです。

つまり、穴が塞がり切っていない、外気がボトル内に入ってくる状態でワインが保管されていたことになるので、ワインの酸化が進んだことを心配しましたが、

恐らくワインを注ぐと同時に注入されているアルゴンガスのおかげか、ワインの状態は抜栓初日と全く変わりなく美味しく飲めました。

酸味が引き立つことも、味わいのバランスが崩れることもなく、黄桃のような風味が口いっぱいに広がります。

ワインの状態が保たれていることは分かりましたが、コルク栓によるでしょうが、差し込んだニードル跡が完全に塞がるわけではないことも分かってしまいましたので、

コラヴァンを使った後のワインは、セラー内での横置きは難しいということになります。

そして塞がり切らないコルク栓のニードル跡は、ボトル内に残るワインにどのような影響を与えるでしょうか。

この日はグラス1杯弱のワインを飲んで、その辺りも考慮しながら、また間を空けてワインの状態を検証していきます。

抜栓5日目(5月30日)

ワインの保存について、今回は瓶口の部分をやや上に傾けた状態でセラー内で保管しました。

すると、コルク栓のニードル跡にわずかにワインが滲んでいましたが、今度はワインが漏れることなく保存できましたので、

コラヴァンを使った後のワイン保存は、縦置きにするか、やや瓶口を上に傾けて横置きに保存するのがベターのようです。

肝心の5日目のワインの香り、味ですが、抜栓直後と変わった様子はなく、美味しくいただくことができました。

もう少し飲みたいなと思ったのですが、あくまで検証ですのでグッと堪えて、引き続き検証していきます。

ワインの残りですが、まだボトルの2/3くらい入っています。

抜栓7日目(6月2日)

前回と同じ保存方法で、やはりコルク栓のニードル跡にわずかにワインが滲んでいました。

ただ、中のワインについては、まだ酸化による劣化はなく、美味しく飲めました。

正確に言えば、ワインの味わいはみずみずしく、酸味と甘味のバランスが保たれて、香りについては今がピークに達したように見受けられました。

まだ微発泡は残っていますが、香りも味わいも開いてきて、口に含むとカリンのような黄色いフルーツやわずかにパインアメのようなフレーバーが出てきたように思います。

抜栓11日目(6月6日)

やはり、コルク栓のニードル跡にわずかにワインが滲んでいましたが、それ以外の問題は見当たりませんでした。

中のワインについても、香りが開いた状態でずっと維持しており、熟したフルーツの香りが口いっぱいに広がります。

ワインは多少酸素には触れているようですが、あくまで微量であるようで、化学変化して劣化しているというより、むしろいい方向に作用しているように見受けられます。

抜栓15日目(6月10日)

やはり、コルク栓のニードル跡にわずかにワインが滲んでいました。

抜栓2週間を超えて、ボトルに残るワインの量も1/3を切りましたが、流石に開けたてと比べると酸化の兆候が出てきたように感じます。

花をイメージするならば、花びらが開き切って、わずかに枯れ始めたような感じです。

ただ、まだフルーツの風味も酸味もしっかり残り、十分美味しく飲める状態なので、

温度をよりきちんと管理して提供すれば、ワインバーで出てきてもクレームが来ないであろうレベルです。

この日でボトルに残るワインは1/4を切り、グラスでも1杯強程度の量になりました。

抜栓29日目(6月24日)

ワインが少なくなると、コラヴァンを使っていてもワインが酸化すると聞いたので、最後のグラス1杯強のワインを2週間程度間を空けてみました。

結論から言うと、まだお店で出しても問題ないくらいの品質を保っています。

恐らく酸化に伴う風味の変化と思いますが、熟した黄桃やカリンのような黄色いフルーツのニュアンスに変化しています。

ただ酸化といってもネガティブな要素は全くなく、むしろ状態としてはプラスに働いていて、

フルーツの風味と酸味とのバランスがしっかり保たれ、美味しく飲むことができました。

アルコール度数が7.5%と低いので、ここまで日持ちしないだろうと踏んでいましたが、

このワインは「プレディカーツワイン」=ドイツ最高品質カテゴリーに当たり、補糖も禁止されているので、きちんとブドウも品質のいいものを厳選して使っているのだと思われます。

ボトルの底にびっしりと澱が張り付いていることからも、ワインに含まれていた様々な成分が豊富に含まれていたことを物語っています。

結論

今回の検証から導き出した結論では、以下の通りです。

  • コラヴァンを使うと、ワインの酸化防止には高い効果がある
  • コルク栓の弾力性が弱いと、ニードルを刺した跡が防ぎきらない
  • 必ずしも開けたての状態を、数ヶ月、数年と保つことができるわけではない

ワインの酸化防止効果はイメージ通りでしたが、ニードルを刺した跡が防ぎきらないのは、予想外でした。

コルク栓の弾力性が維持されているかによるかもしれませんが、

例えば、コラヴァンを熟成途中のワインに使って、またしばらく熟成させるといった使い方が、ワインによってはできないのでは、という疑念も出る結果となりました。

この辺りは、別のワインを使って、また改めて検証していきたいと思います。

「コラヴァン」であなたにしかできないワイン体験を生み出す

「コラヴァン」は、ボトルに取り付けて使うことで、コルク栓を抜かずにボトルの中のワインを注いで飲むことができる、特許テクノロジーを使用したアイテムです。

コラヴァンを使えば開封せずにワインが飲めるので、ワインを酸化させることなく、数ヶ月または数年後でも開けたての状態でワインを飲むことができます。

created by Rinker
Coravin
¥35,640 (2024/07/01 14:56:14時点 Amazon調べ-詳細)

コラヴァンは使い方が簡単ということもあり、飲みたいワインの酸化を気にせず楽しめるだけでなく、

熟成途中のワインの状態を飲んで確かめるといった、これまでできなかったワインの楽しみ方もできるので、世界のワイン愛好家からも注目されているアイテムです。

「コラヴァン」については以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしながらぜひともあなたにしかできないワインの体験を編み出して頂ければと思います。

ワインの飲み方が変わる?!コルクを抜かずにワインが飲める道具「コラヴァン」とは?

コルクを抜かずワインを注ぐ「コラヴァン」使い方を画像付きで紹介、使用上の注意点も

買うならどのコラヴァンがいい?シリーズ・モデル別の比較とオススメを紹介

コメント

タイトルとURLをコピーしました