ワインのニューワールドとは?ヨーロッパと異なる魅力とその特徴を紹介

ワインの知識・用語

ワインでよく耳にする「ニューワールド」、何のことか分かりますか?

ニューワールドとは、ヨーロッパ以外のワイン生産地のことですが、どうやらニューワールドにもヨーロッパとは違う魅力的なワインがたくさんあるようです。

そこで今回は、ワインのニューワールドとは何か、ニューワールドのワインが持つ魅力とその特徴について、見ていきたいと思います。

ワインのニューワールドとは?

ワインの「ニューワールド」とは、ヨーロッパ以外のワイン生産国・地域のことです。

具体的には、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどといった国を指すことが多いです。

ニューワールド(=新世界)は、ワイン造りの歴史が浅いのでそう呼ばれており、

ニューワールドに対して、ワイン造りの歴史が深いヨーロッパワイン生産国のことを総称して「オールドワールド」と呼ぶことがたまにあります。

ニューワールドのワインの特徴は?

ニューワールドのワインは、ヨーロッパとは異なる、以下のような特徴を持っていることが多いです。

  • 果実味が豊か
  • 香りや味わいがしっかりしている
  • アルコール度数が高め

ニューワールドとヨーロッパでは、気候や土壌条件が異なるので、たとえ同じブドウ品種を使ったとしてもワインの味わいは違ったものになります。

ニューワールドワインの魅力とは?

ニューワールドのワインは、ヨーロッパとはまた違った魅力があり、多くのワイン愛好家に人気があります。

どういった魅力があるのか、詳しく見ていきたいと思います。

コストパフォーマンスが高い

ニューワールドのワインは、そのコストパフォーマンスの高さが大きな魅力です。

安くて美味しいワインと言えば、まずニューワールドのワインが候補に挙がります。

これがなぜかというと、ニューワールドのワイン造りは全体的に、たくさんワインを造って安く販売するという方式を取っているからです。

これには、ニューワールドはワインの法律や規制がヨーロッパほど厳しくないという背景があります。

それによって、例えば以下の方法を取ることができます。

  • 地価が安い土地に新たにブドウ畑を作って、ブドウの収穫量を上げることができる
  • 最新の技術やデータを駆使して、生産コストを抑えたワイン造りができる

そのため、ニューワールドのワインは、ヴィンテージに左右されずに価格と品質が安定しているというメリットもあります。

一方、ヨーロッパのワイン生産国には、伝統的に育まれたワイン文化を守るために、厳しいワインの法律・規制があります。

それには、例えばブドウが栽培できる区域が限られる、法律で決められたブドウ品種以外は使えない、ブドウの収穫量制限などが含まれており、

どうしても、フランスやイタリアなどヨーロッパでのワイン生産量には限界があります。

また近年は、温暖化の影響によるブドウ収穫量の減少、中国やインドなど新興国を中心とした世界的なワイン消費量の増加もあり、

ヨーロッパでは有名なワインほど品薄な状態が続いていて、さらに価格が高騰しています。

こういった要因もあり、ニューワールドワインのコストパフォーマンスの高さは、今後ますます魅力的に見えてくると思います。

ワインの情報が分かりやすい

ニューワールドのワインは、ワインのラベルにワインのほとんどの情報が書いてあるので、ワインの内容が理解しやすいのも魅力です。

例えば、以下はニューワールドの一つ、チリのワインですが、こちらを例に見ていきたいと思います。

(出典:イエノミスタイル)

このラベルの画像だけでも、以下のワインの情報が確認できます。

  • ①②ワイン名:120 Reserva Especial(シェントベインテ・レセルバ・エスペシアル)
  • ③ブドウ品種:Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニヨン)
  • ④生産地:チリ/セントラル・ヴァレー
  • ⑤ヴィンテージ:2018年
  • ⑥生産者名:Santa Rita(サンタ・リタ)

ヨーロッパのワインの場合、ワイン名を表示するために産地、ブドウ品種も法律で決められているため、ラベルに書かれるのはワイン名のみの場合がほとんどです。

そのためヨーロッパのワインは、ワイン名を知らないと産地、ブドウ品種は読み取ることができないというややこしさがあります。

その点で、ニューワールドのワインはラベルを見れば内容が分かる、つまり飲んだことがないワインでも好みの味わいかどうかが判断しやすいというメリットがあります。

気軽に楽しめる

ニューワールドのワインは、かしこまることなく気軽に楽しめます。

友達とのパーティー、キャンプやバーベキューなどのアウトドアなど、カジュアルにワインを楽しみたい時に、ニューワールドのワインはうってつけです。

そう言える理由は、コストパフォーマンスの高さに加えて、

ニューワールドのワインの多くに、スクリューキャップが採用されているためです。

スクリューキャップのワインは、栓を開ける時にワインオープナーのような道具が不要な上、たとえ1本飲み切らなくてもすぐに栓をして気軽に持ち運びすることができます。

話が少しそれますが、スクリューキャップの一番のメリットは、コルク栓では2~5%程度起きるワイン劣化「ブショネ」が起きないということで、

最近では、ヨーロッパのワインですらスクリューキャップを見かけるほどです。

ニューワールドのワイン、代表的な国別の特徴

このように、ニューワールドのワインは全体的に見てもヨーロッパとは違った魅力がありますが、

それぞれの国では、個性豊かで魅力的なワインが造られています。

そこで、ニューワールドの中でも、代表的な国ごとにワインの特徴を見ていきたいと思います。

チリ

ニューワールドのワインと言えば、真っ先にチリが思い浮かびます。

チリワインの人気は高く、日本に輸入される海外ワインの中でもフランス、イタリアを抜き堂々第1位の輸入量を誇っています。

チリは、ブドウ栽培に非常に適した気候で、ブドウがたくさん生産できること、

そして、チリと日本との間で結ばれた国際協定により、チリワインの輸入には関税という税金がかかっていないこと、

これらの理由から、他国のワインに比べてもチリワインは安く、デイリーワインにピッタリなので、日本での人気が高いです。

ワインの特徴として、赤ワイン・白ワインともに、しっかりとしたブドウの風味と、飲み疲れしにくい味わいのバランスが両立して、

ベリー、柑橘類、トロピカルフルーツなどを想わせる様々なフルーツのフレーバーが感じられます。

チリワインで使われるブドウ品種には、赤ワインではカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、そしてカルメネール、

白ワインでは、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなどがあります。

アルゼンチン

アルゼンチンは質の高いワインを多く生み出し、世界的にも評価が高く、徐々に輸出量も増えているワイン産地です。

アルゼンチンでは、アンデス山脈に沿ってブドウ畑があり、多様な気候のもとでそれぞれの環境に適したブドウが栽培されています。

そのため、アルゼンチンのワインは、バラエティー豊かな味わいを楽しめるという特徴があります。

赤ワインは、果実味豊かで力強い味わい、

そして白ワインは、バランスがよくフルーティーで華やかな味わいに仕上がります。

アルゼンチンには高い品質で比較的リーズナブルなワインが多い一方で、高級ワインも造られており、多種多様な魅力に富んだワイン産地と言えます。

主なブドウ品種として、赤ワインではボナルダ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、メルロー、テンプラニーリョ、ピノ・ノワール、バルベーラといった数多くの品種が栽培されていますが、

アルゼンチンを代表する赤ワイン用ブドウ品種が、マルベックです。

コクがあり、まろやかで肉厚な味わいが魅力で、世界的にも評価されています。

白ワインでは、シャルドネ、シュナン・ブラン、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨンなども栽培されていますが、

アルゼンチンの象徴的な白ブドウ品種は、トロンテスです。

フルーティーで、マスカットや白い花を想わせるその華やかで複雑な香りと味わいは、多くの人を惹きつけています。

アメリカ

アメリカで造られるワインはヨーロッパと比べると、ブドウの風味が力強く風味が分かりやすいという特徴があります。

その理由はアメリカの気候にあり、比較的穏やかで温暖なので、ブドウが完熟しやすい環境にあるためです。

ワイン生産地域は、カリフォルニア州やワシントン州など太平洋に面した地域から、ニューヨーク州やバージニア州など内陸部にも広がります。

このため、地域によって異なる気候条件に合わせたワイン造りが行われ、多くの個性的なワインが生まれます。

特にカリフォルニア州のナパ・ヴァレーは、高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地として知られています。

主なブドウ品種としては、赤ワインにはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、シラーなどで、しっかりとした果実味とボディがあるのが特徴です。

そして、アメリカを象徴する赤ワイン用のブドウ品種にジンファンデルがあり、この品種で造られるワインは、色と味わいが濃いものに仕上がります。

一方、白ワインに使われるブドウ品種には、シャルドネ、シュナン・ブランなどがあり、こちらはしっかりとした果実味と樽熟成によるクリーミーな味わいが楽しめます。

オーストラリア

オーストラリアの広大な土地では、南側に有名なワイン産地が広がっていて、各地で多種多様なワインが造られています。

オーストラリアだけで、高級なワインからお手頃な価格のデイリーワインまで幅広く楽しむことができるのも、世界中のワイン愛好家から人気が高い理由です。

オーストラリアは、元々ワインの輸出に力を入れているため、常に世界のワイン消費のニーズに合ったワイン造りを行っています。

ブドウ品種として特に評価が高いのは、赤ワイン用のシラーで、オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれています。

豊かな果実味のフルボディで、黒コショウを想わせるスパイシーな風味が特徴で、特に赤身の牛肉との相性がよく、世界中で愛されています。

また、シラーズを、グルナッシュとサンソーとブレンドして造られる赤ワインもよく造られ、

それぞれのブドウ品種の頭文字をとった「GSM」は、濃厚な風味を持つ、オーストラリアの象徴的な赤ワインの一つです。

赤ワイン用のブドウ品種としては、他にもカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワールなども栽培されています。

白ワイン用としては、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、リースリングなどが主に栽培され、こちらも高品質でヨーロッパとは一味違う個性を持つワインが造られています。

ニュージーランド

ニュージーランドの涼しい海洋性気候は、ブドウに栽培に適した環境で、そこからできるワインは全体的にフルーティーで爽やかな味わいに仕上がります。

ブドウ品種として特に評価が高いのは、白ワインのソーヴィニヨン・ブラン、赤ワインではピノ・ノワールです。

特にマールボロ地域で造られるソーヴィニヨン・ブランの白ワインは、弾けるような果実味に、グレープフルーツやハーブを想わせるフルーティーさと清涼感が特徴的で、

世界中から高い評価を受けています。

南アフリカ

南アフリカの気候は、総じて日照時間が長く温暖で、ブドウ栽培に最適な気候のもとにあります。

ワインの味わいとしては、ヨーロッパのような優美な雰囲気と、ニューワールドらしい力強い風味を兼ね備えていて、そのレベルの高さは既に海外ではよく知られています。

ブドウ品種として特に評価が高いのは、赤ワインではピノタージュ、白ワインではシュナン・ブランですが、

フランスで栽培されるブドウ品種からも、品質の高いワインが多く造られています。

また南アフリカでは、昨今のSDGsの流れとも一致する、豊かな自然環境に配慮されたワイン造りが以前から行われていることも注目する点の一つです。

まとめ

今回はワインのニューワールドとは何か、ニューワールドが持つ魅力とその特徴について、見てきました。

ニューワールドとは、ワイン造りの歴史が浅い、ヨーロッパ以外のワイン生産国・地域のことで、

具体的には、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカといった国を指すことが多いです。

ニューワールドワインの魅力は、コストパフォーマンスの高さ、分かりやすさと気軽に楽しめる点などがあります。

同じワインと言っても、ニューワールドにはヨーロッパとはまた違う魅力があって、面白そうですね。

たまには、気軽にニューワールドのワイン、試してみてはいかがでしょうか。

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