ボルドーのワインとは?産地とワインの特徴、楽しみ方やオススメを紹介

ワインの知識・用語

ボルドーのワイン、聞いたことがあるかもしれませんが、どういうワインかご存知でしょうか?

ボルドーのワインは、濃厚で渋い高級赤ワインが有名ということには違いないのですが、実はボルドーにはそれ以外にも多種多様なワインが造られて、

その中には、リーズナブルな価格で楽しめるワインもたくさんあります。

ワインで有名なボルドー、もう少し詳しく知りたくないですか?

そこで今回はボルドーの産地、ワインの特徴や楽しみ方、最後にオススメのボルドーワインについても見ていきたいと思います。

ワインのボルドーとは?

ボルドーとは、フランスの中にある地方の一つで、ボルドーワインと言うとボルドー地方で造られるワインのことを指します。

以下の地図で、赤丸で囲っている部分が、ボルドー地方の大まかな場所です。

(出典:Firadis WINE CLUB)

なぜボルドーで高級ワインができる?

ボルドー地方で高級ワインが造られる要因はいくつかありますが、

まずは気候が、ワインの原料となるブドウの生育に非常に適していることが挙げられます。

ボルドー地方は、大西洋の影響を受けた穏やかな海洋性気候で、

ブドウ樹の生育期である夏は温暖で、休眠期である冬は非常に寒い地域、さらに雨が少なく日照時間も長いという気候の特徴が、ブドウの生育にはプラスに作用しています。

またボルドー地方は、畑の土壌が栽培されているブドウ品種とよく適合していて、そこから造られるワイン(特に赤ワイン)の味わいが、世界中のワイン愛好家の心をつかんでいます。

ボルドーの最高級赤ワインは、歴代のアメリカ大統領であるトーマス・ジェファーソンやジョン・F・ケネディをはじめとする数々の有名人御用達ということでも、有名です。

ボルドーの主なワイン生産地区

このように、ボルドー地方は高品質なワインができる条件が元々揃っているのですが、ボルドーの中でも地区によってできるワインの特徴が少し異なります。

以下のボルドー地方の地図をもとに、より細かく地区を見ていきたいと思います。

(出典;ワインジャーナル)

地図上で、左上から右下に向かってボルドー地方の真ん中を流れる大きな河(「ジロンド河」という河)の両岸で、できるワインの特徴が異なります。

まずボルドー地方を大きく分けると、メドック地区・グラーヴ地区側の「左岸」、ポムロール&サン・テミリオン地区側の「右岸」の二つです。

左岸と右岸ではブドウ畑の土壌も異なり、左岸は砂利質で水はけがよく、一方の右岸は粘土質で保水性が高いという特徴が生まれます。

この土壌の特徴の違いによって、畑に適合するブドウ品種も異なるので、できるワインのキャラクターも左岸と右岸では異なります。

ボルドーの中で、主な生産地区を以下で見ていきたいと思います。

メドック地区

メドック地区は、ボルトー地方を代表する高級ワイン産地で、特に赤ワインが世界的に有名です。

メドック地区は、ジロンド河の左岸、下流沿いに広がっています。

ブドウ品種には主にカベルネ・ソーヴィニヨンが使われ、凝縮したフルーツの風味とタンニン分が豊富で、長期間熟成することができる力強い赤ワインを生み出します。

(ブドウ品種については、後ほど説明します。)

ポムロール地区&サン・テミリオン地区

ポムロール地区そしてサン・テミリオン地区は、ジロンド河の支流である、ドルドーニュ川の右岸にブドウ畑が広がるワインの産地です。

右岸も全体的に、川の影響を受けて気候が穏やかで、畑の土壌も複雑ですが、

石灰質を含むサン・テミリオン地区と石灰質に砂や粘土が入り混じったポムロール地区からは、特に高品質な赤ワインが生み出されます。

メドック地区とは少し違い、ブドウ品種ではメルローの出来が素晴らしく、世界的にも有名な赤ワインが数多く造られています。

ソーテルヌ地区

ソーテルヌ地区は、ガロンヌ川と支流のシロン川が交差する場所にあるワイン産地で、

特にソーテルヌの高級甘口ワインである「貴腐ワイン」が、世界的に有名です。

二つの川の影響で夕方から朝にかけて大量の霧が発生することで、貴腐菌という菌がブドウにつくことで、水分が抜けて甘みが凝縮したブドウが収穫できます。

品質の高い甘口の貴腐ワインは、普通のワインに比べるとごく少量しか生産できないため、その価格も非常に高価ですが、

ソーテルヌの貴腐ワインは、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」、ハンガリーの「トカイ」と並び、世界三大甘口ワインとも呼ばれています。

アントル・ドゥ・メール地区

アントル・ドゥ・メール地区は、ジロンド川とドルドーニュ川が合流する三角地帯にあるワイン産地です。

ここでは辛口の白ワインが造られる産地で、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルといった白ブドウを使った主にフレッシュでお手軽な白ワインが造られています。

このように、ボルドーワインといっても地区によっては赤だけでなく、白の辛口や甘口といった様々なタイプのワインも造られています。

また、ここまで説明した地区以外でも、ボルドー地方の他の地区でワインは造られていて、その中にはコストパフォーマンスに優れたワインも多数含まれています。

ボルドーワインの特徴

では、ここからはボルドーワインにどのような特徴があるかを見ていきたいと思います。

まずは、以下の2点がボルドーワインを理解する上で、重要になってきます。

  • いくつかのブドウ品種をブレンドして造る
  • 独自の公式の格付けがある

それぞれを詳しく見ていきたいと思います。

いくつかのブドウ品種をブレンドして造る

ボルドーのワインは、複数のブドウ品種をブレンドして造られることが一般的です。

複数のブドウ品種をブレンドすることで、ワインの味わいと品質のバランスが取れること、

また、ボルドーで年によって生じることがある、大雨や霜によるブドウの不作リスクを減らすことができるからです。

ここで一度、ボルドー地方でどういったブドウ品種が栽培されているかについても、見ていきたいと思います。

ブドウ品種の特徴を知ることは、ワインの個性を捉える上でとても大切なので、ブドウ品種の特徴を大まかに掴むことで、ボルドーワインを大まかに掴みやすくなるからです。

ボルドーで栽培される主なブドウ品種

カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨンは、恐らく赤ワイン用ブドウ品種で最初に覚えることになる、有名なブドウ品種です。

世界各国で栽培される人気の高いブドウ品種ですが、ボルドーの赤ワインで使われることでよく知られています。

カベルネ・ソーヴィニヨンは粒が小さく皮が厚いブドウで、ワインを造る時にブドウの皮と種に含まれ渋みの元となるタンニン分が豊富に抽出されるので、

できるワインは、カシスやブルーベリーのような凝縮した風味としっかりとした渋みが特徴となります。

さらに品質の高いカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、きれいに熟成させることで他にはない優美で複雑なアロマと風味が生まれるので、

世界中のワイン愛好家から愛される、人気が高いブドウ品種です。

メルロー

メルローもカベルネ・ソーヴィニヨンと並び、世界中で栽培されている人気の高い赤ワイン用のブドウ品種です。

また、ボルドーの赤ワインで使われていることでも、有名なブドウ品種です。

メルローからできる赤ワインも力強い風味に仕上がりますが、味わいは芳醇でまろやか、タンニン分も滑らかという特徴があります。

その点で、濃厚な風味と豊かな渋みを持つカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインとは異なる味わいに仕上がります。

カベルネ・フラン

カベルネ・フランからできる赤ワインは、まろやかな飲み口でライトな味わいに仕上がる傾向にあります。

そのワインのアロマと風味は、ベリーや野イチゴ、スミレを想わせ、デリケートで優美な印象を与えると言われます。

カベルネ・フランは、伝統的にはボルドーの赤ワインに少量ブレンドされ、ワインにエレガントさとバランスをもたらしてきましたが、

フランスの別地域であるロワール地方、またイタリアのトスカーナ地方やアメリカなどではまた違った魅力が引き出されており、年々栽培面積が広がっているブドウ品種でもあります。

ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブランは、ボルドーの重要な白ワイン用ブドウ品種で、世界中のワイン産地で栽培される人気の高いブドウ品種です。

できる白ワインには、清涼感がありハーブや青草のような香り、爽やかな酸味を持つという特徴があります。

ボルドー地方で栽培されることで有名なブドウ品種ですが、フランスのロワール地方やニュージーランドのような他の地域でも、高品質な白ワインを生み出しています。

セミヨン

セミヨンも、ボルドー地方では重要な白ワイン用のブドウ品種です。

できるワインの特徴としては、ドライフルーツやハチミツのような上品なアロマと、滑らかな口当たりがあります。

ボルドーでは、ソーヴィニヨン・ブランに少しブレンドされることで、辛口の白ワインに仕上げられることが多いですが、

特に有名なのは、ソーテルヌ地方で造られる「貴腐ワイン」という、セミヨン100%で造られる甘口ワインです。

独自の公式の格付けがある

ボルドー地方には、公式に認定された格付けがあることも大きな特徴の一つです。

5つの地区でそれぞれに独自の格付けがされており、その格付けによって品質のいいワインかどうか見極めることができます。

それぞれの地区の格付けは、ワイン生産者である「シャトー」ごとに認められています。

ボルドーワイン総生産量の5%ほどのワインが、その格付けにランクインされています。

その格付けの中でも、最も古く世界的に有名なのがメドック地区の格付けです。

メドック地区

メドック地区の格付けは、数あるシャトーの中から61のシャトーが選ばれ、そのシャトーが1級から5級の間にランク分けされています。

そもそもこのメドック地区のシャトー格付けは、1855年のパリ万国博覧会の開催に合わせて、海外に向けたボルドーワインのプロモーションを行うために作られたものです。

格付けは、当時の国王ナポレオン3世の要請を受けたボルドー商工会議所が、ボルドーのクルティエ(仲買人)に依頼して、作成されたものです。

選ばれた61のシャトーは、当時の赤ワインの価格に従って、5つの等級に分けられました。

メドック地区の格付けは、発表されて以来ほとんど変更されることなく、現在に至っています。

例外的に格付けが変更されたことで有名なのは、1973年にシャトー・ムートン・ロスチャイルドが、2級から1級への昇格です。

メドック地区の格付けで1級に選ばれているのは、現在は以下5つのシャトーです。

この5つが「五大シャトー」と言われる、高品質な赤ワインを造ることで世界的に有名なボルドーの生産者です。

  • シャトー・ムートン・ロスチャイルド
  • シャトー・ラフィット
  • シャトー・マルゴー
  • シャトー・ムートン・ロスチャイルド
  • シャトー・オー・ブリオン

ボルドーワインを美味しく飲むために

ボルドーのワインというと、濃厚で渋みと酸味が強い、深みのあるフルボディの赤ワインというイメージが強いですが、

このようにボルドーには、赤ワインはライトボディ〜フルボディ、そして白ワインも辛口〜甘口と様々なタイプもあり、その多様性が魅力的なワイン産地です。

そんなボルドーワインをどうすれば美味しく飲めるのか、いくつかのポイントに分けて見ていきたいと思います。

ワインはそれぞれの適温で楽しむ

まず、ボルドーワインを美味しく飲むために意識したいのは、ワインの温度です。

以下の温度を目安にすると、香りと味わいが引き立って美味しく飲めます。

  • 赤ワイン(ライトボディ):14〜16℃
  • 赤ワイン(フルボディ):16〜20℃
  • 白ワイン(甘口):6〜8℃
  • 白ワイン(辛口):10℃前後

この温度帯ですと、赤ワインはフルーツの風味と渋みとのバランス、白ワインはフルーツの風味と酸味・甘味とのバランスが取れるので、美味しく飲むことができます。

ちなみにワインの適温については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみて下さい。

ワインを美味しく飲める温度は?適温で飲む方法とオススメグッズを紹介

ワインに適したグラスを準備する

ワインのタイプに適したグラスを準備することも、ボルドーワインを美味しく飲むためには大切です。

白ワイン用に白ワイン型、赤ワイン用にボルドー型のワイングラスは準備することをオススメします。

ワイングラスは、それぞれのワインの香りや味わいを引き出すために、ボウルの大きさ、口の広さなどまで細かく計算されています。

ワイングラスも、ブランドによって価格は大きく変わりますが、日常使いできる有名なものは1脚数千円から手に入りますので、

もしボルドーに限らずワインを飲む機会があるのであれば、白ワイン型とボルドー型は準備しておいても損はしないと思います。

ちなみにワイングラスと選び方については、それぞれ以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみて下さい。

ワイングラス各部位には名称と役割がある?!5つの代表的なグラスの型も紹介

ワインと相性のいい料理を合わせる

ボルドーワインを美味しく飲むためには、相性のいい料理合わせることが必須になります。

ボルドーに限らず、ヨーロッパのワイン全般に言えることですが、

伝統的にワインは食中酒なので、ワインは料理と合わせることでお互いの美味しさを引き立たせることができるという考え方があるからです。

まず、ワインと料理を合わせる基本としては、

赤ワインなら肉料理、辛口白ワインなら魚料理、甘口白ワインならスイーツを合わせるという考え方です。

もう少し具体的な料理名を挙げると、例えば以下のような料理とワインを合わせるといいと思います。

  • 赤ワイン:ハンバーグ、シチュー、ステーキ、牛肉や豚肉の煮込み、すき焼き
  • 白ワイン(辛口):魚介類のソテー
  • 白ワイン(甘口):青カビチーズのハチミツがけ

ちなみに、本場であるボルドー地方では、ワインと料理をどのように合わせているのでしょうか?

ボルドー地方の伝統料理としては以下のようなものがあり、これらを地元ボルドー産のワインと合わせることが多いです。

  • 牛リブロースのステーキ
  • ウナギの赤ワインソース煮
  • 仔羊のロースト
  • セップ茸のソテー
  • 生牡蠣や牡蠣料理
  • カヌレ
  • フォアグラのソテー

ボルドーワインも様々な個性があるので、ワインに合わせて料理も選んでみるといいと思います。

ちなみに、ワインと料理の組み合わせがいいことを「マリアージュ」と言いますが、

マリアージュについては、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみて下さい。

ワインと料理をマリアージュさせる方法は?基本を実例と合わせて紹介

ボルドーワインを知るためのオススメワイン

最後に、ボルドーワインを理解するためにオススメのワインを紹介したいと思います。

ボルドーワインと言うと、メドック格付けシャトー、そして五大シャトーの赤ワインですが、あまりにも高額で、とても普段気軽に飲めるワインではありません。

ボルドーワインの本質は、普段の食事と気軽に楽しむものですので、今回は五大シャトーにもちなんだオススメのボルドーワインを紹介したいと思います。

ムートン・カデ

ムートン・カデは、ボルドーで造られるワインのシリーズで、手掛けるのはバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社です。

バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社は、五大シャトーの一つ「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」を手掛けていて、

ムートン・カデは、よりカジュアルにワインを楽しんでもらうために造られるボルドーワインのシリーズです。

高品質なワイン造りを追求し、最新の技術の投入や条件のいい畑で栽培されたブドウもブレンドするなど、クオリティの高いワイン造りを続けています。

食事に合わせやすく、すぐに開けて楽しめる、これこそがムートン・カデの最大の魅力です。

クラレンドル

クラレンドルは、五大シャトーの一つ「シャトー・オー・ブリオン」を擁するクラレンス・ディオン社が手掛ける、ボルドーワインのシリーズです。

クラレンドルもまた、手軽な価格で飲み頃のボルドーワインを楽しんでほしい、という生産者の想いの下で生み出されたワインです。

クラレンドルのワインの一部には、シャトー・オー・ブリオンなど一流シャトーで造られたワインなども含まれている贅沢な造りとなっていて、

これらの格付けシャトーで投入されている高い技術も、クラレンドルに使われています。

クラレンス・ディオン社は、本拠地であるボルドーにこだわってワイン造りを実施し、ボルドーの魅力をもっと広く世界へ発信していくことを目指し、

高品質なワインを造るための努力を惜しまず、ワインを造り続けています。

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まとめ

今回はボルドーワインについて産地、ワインの特徴や楽しみ方、最後にオススメのボルドーワインについて見てきました。

ボルドーとは、フランスの地方の一つで、ワインで世界的に有名な産地で、

品質の高いワインができる場所でもあります。

ボルドーワインの特徴として、いくつかのブドウ品種をブレンドして造ることと、独自の公式の格付けがあり、

格付けされたシャトーの赤ワインが世界的に有名なので、ボルドーは高級ワインの産地と思われがちですが、実は日常的に楽しめるワインも多く造られています。

ボルドーワインを美味しく飲むために、ワインは適温で楽しむこと、適したワイングラスを準備すること、相性のいい料理と合わせるといいと思います。

ボルドーの特に赤ワインは、世界に先駆けて有名になったこともあり、世界中のワイン生産者からお手本とされるワインを生み出しています。

そんな世界の生産者が理想とするボルドーワイン、ぜひともきちんと飲んで見てくださいね。

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